2026年4月号

Women’s Health Media」では、Women’s Health に関心をお持ちの方へ、世界各地の取り組みを調査・発信しています。

本号では、資金調達3件・薬事承認2件を扱います。

資金調達では、更年期のオンライン診療の大型ラウンド、経口の分子標的治療薬を軸にした買収と大型調達、妊娠から産後までを支える母体ヘルス支援のPre-Seedを取り上げます。

薬事承認の2件は、どちらも卵巣がんです。1件目は、免疫療法の適応を判断するための検査が認められたニュースです。もう1件は、プラチナ系の化学療法が効きにくい進行例に対する治療が認められたニュースをご紹介します。

以下では、各社・各製品の内容と背景を順にまとめます。

資金調達ニュース

Midi Health: 更年期ケアに特化した女性向け遠隔医療プラットフォームのMidi HealthがSeries Dで1億ドルを調達

Midi 遠隔医療サービスの様子

画像出典: https://www.joinmidi.com/

Midi Health(米国)は、Series Dで1億ドル(約155億円、1ドル=155円)を調達しました。ペリメノポーズ(閉経に向かう過渡期)や更年期は女性特有の健康課題で、見過ごされると医療費や生活への負担が大きくなりやすい領域です。女性向け遠隔医療プラットフォーム「Midi」により、更年期症状に加えて睡眠、気分、体重、心血管リスクなどをまとめて相談しやすくなり、乳がん検診の受診率は28ポイント、大腸がん検診の受診率は11ポイント改善し、医療費全体も比較群より最大13%低下しました。Midiは、ペリメノポーズと更年期ケアを中核に、産婦人科や内科などの専門家が連携して診療する保険適用のデジタル医療サービスで、独自のAIエンジンがカルテ解析を通じて個別化した診療判断を支援します。あわせて、予約、トリアージ、文書作成の自動化や、女性ヘルスデータを用いた診療プロトコルの改善も進めています。 *

プレスリリース:https://www.joinmidi.com/press-release/series-d-announcement

公式HP: https://www.joinmidi.com/

Sensei Biotherapeutics: Faeth Therapeuticsの買収とあわせて約2億ドルの私募増資を実施し、経口がん治療薬PIKTORの開発を加速

Sensei Biotherapeutics(米国)は、Secondaryで2億ドル(約310億円、1ドル=155円)を調達しました。

主力候補のPIKTORは、治療を何度も受けてきた進行子宮内膜がんや乳がんの患者で腫瘍が小さくなる割合を高める可能性があり、初期試験では全体で47%、PI3K経路の変異がある患者では71%で腫瘍縮小が確認され、完全に腫瘍が消失した例も報告されています。

PIKTORは、PI3K-alpha阻害とmTORC1/2阻害を組み合わせてPI3K/AKT/mTORシグナル経路を同時に抑える経口分子標的治療薬で、主に進行子宮内膜がんとHR+/HER2-進行乳がんを対象に開発されています。

今回の資金は、進行子宮内膜がんのPhase 2試験結果の取得と、進行乳がんを対象とするPhase 1b試験の開始に充てられる予定です。 *

プレスリリース:https://investors.senseibio.com/news-releases/news-release-details/sensei-biotherapeutics-announces-acquisition-faeth-therapeutics

公式HP: https://www.senseibio.com

Matresa: 予防型の母体ヘルス支援プラットフォーム開発に向けPre-Seedで約39万ドルを調達

Matresa 母体ヘルスプラットフォーム

画像出典: https://www.matresa-app.com/

Matresa(イギリス、ロンドン)は、Pre-Seedで393,750ドル(約6,100万円、1ドル=155円)を調達しました。女性の妊娠・出産・産後の健康を支えるWomen's Health領域の企業で、母体ヘルス支援プラットフォーム「Matresa」は、妊娠中から産後の初期育児期まで母親とパートナーに継続的な個別支援とスクリーニングを提供し、継続データを使った早期対応によって、見過ごされがちな不調の発見や必要な支援へのつながりを早めます。Matresaは、臨床知見、行動科学、AIを組み合わせた予防型の臨床グレード母体ヘルスプラットフォームで、母子を一体で捉えるdyadic mother-babyアプローチに基づき、妊娠から初期育児期までの母体データを継続収集して臨床経路に沿った早期介入を可能にする設計です。加えて、育休中の従業員の状況を雇用主が把握しやすくする仕組みも備え、母親の健康改善と離職防止の両立を目指しています。 *

プレスリリース:https://www.htworld.co.uk/news/digital-health/matresa-secures-315000-for-preventative-maternal-health-platform-fem26/

公式HP: https://www.matresa-app.com/

薬事承認ニュース

Agilent Technologies: 卵巣がん向けの患者選別検査でFDA承認を取得

PD-L1 IHC 22C3 pharmDx キット

画像出典: https://www.agilent.com/en/product/pharmdx/pd-l1-ihc-22c3-pharmdx-overview

Agilent Technologies(米国)は、卵巣がんなどの患者が特定の治療を受けられる可能性を判断する新しい検査法について、FDA承認を取得した。これにより、治療の候補になりやすい人を事前に見極めやすくなり、卵巣がんで初めての免疫治療向け患者選別検査として、より適した治療選択につながることが期待される。承認されたのはPD-L1 IHC 22C3 pharmDxで、上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんを対象に、Merckの免疫療法Keytruda(pembrolizumab)のコンパニオン診断として用いられる。 *

プレスリリース:https://www.agilent.com/about/newsroom/presrel/2026/11feb-ca26006.html

公式HP: https://www.agilent.com/

Merck: 卵巣がん向け新治療と適格患者を見分ける検査がFDA承認

Merck(米国)は、再発して治療の選択肢が限られやすい卵巣がんの患者向けに、新しい治療法と対象患者を見分ける検査法についてFDA承認を取得した。臨床試験では、この治療により病気の進行または死亡のリスクが28%下がり、全生存期間の中央値は14.0か月から18.2か月へ延び、病気が悪化せずに過ごせる期間の中央値も7.2か月から8.3か月に延びた。承認されたのはKeytruda(pembrolizumab)およびKeytruda QLEXをpaclitaxel(±bevacizumab)と併用する治療で、PD-L1陽性のプラチナ耐性上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの成人が対象であり、AgilentのPD-L1 IHC 22C3 pharmDxもコンパニオン診断として承認された。 *

プレスリリース:https://www.merck.com/news/keytruda-pembrolizumab-and-keytruda-qlex-pembrolizumab-and-berahyaluronidase-alfa-pmph-plus-paclitaxel-%C2%B1-bevacizumab-approved-for-certain-adults-with-pd-l1-cps-%E2%89%A51/

公式HP: https://keytruda.com

まとめ

今回は、資金調達 3 件、薬事承認 2 件の計 5 件を紹介しました。